顎関節の診断

顎を動かす筋肉のいたみや下顎頭の変形と関節円板の転位を、一般に顎関節内症と呼びます。 その原因もさまざまで、最近の研究によると、顎の関節が成長期間中に本来の大きくなるべき大きさにまで うまく成長できなかった場合が多いことが明らかになっています。
根本的な原因はほとんどの場合が不明であり、妊娠中の母体の健康が優れなかったり、不適切な授乳による 嚥下運動の異常、猫背や足を組むといった悪い姿勢、発育期の運動不足、筋肉の拘縮が生じるほどの精神的な緊張、 顎の強打、偏った栄養や余裕のない食生活スタイル、顎の関節にわずかな外傷を与える慢性的な噛み合わせの異常 などさまざまです。顎の動きに多少の不均衡があっても痛みがなく食事を楽しむことができるのであれば、 関節を包む関節包を傷つけたりする外科的な治療は行わない方がよいと現在では考えられています。

現在、顎の楽な位置と、噛みこんだ位置との間に大きなズレがあります。顎を動かす様々な筋肉の緊張をほぐすことにより、 顎の楽な位置がわかります。噛み合わせに関係する筋肉をリラックスさせる代表的な方法には、理学療法があります。

筋肉の緊張があまり強いときは、その背景として心理的問題があることが多いため、心理学カウンセラーに治療を依頼することもあります。
理学療法には、①スプリント療法、②理学療法、③バイオフィードバック療法があります。治療中に、これらの療法を併用する必要が生じるかもしれません。
最終的な噛み合わせは、筋肉の緊張の少ない顎の楽な位置と、歯をきちんと噛みこんだときの位置のズレが極力一致する場所に落ち着くようにします。

顎の関節症は虫歯、歯槽膿漏に次ぐ3大疾患といわれており、発現の詳しいメカニズムが最近になって徐々に明らかになってきました。
成長期間中の栄養の偏りや運動不足、顎を動かす筋肉の慢性的な緊張でおこる関節内の微小外傷ばかりでなく、歯ぎしりや食いしばり、 精神的なストレスによる筋肉の緊張、頬杖をついたり爪を噛む、指をしゃぶる、猫背などの悪い姿勢といった関節への慢性的な荷重負担も顎関節症の 引き金になります。このほかに遺伝的な因子、つまり素質といった要素も深く関与しています。顎の関節の治療は非常に難しく、とくに心理学カウンセラー と整形外科医、口腔外科医、ときには脳神経外科医などと連携しないと治療の効果があがらないことが報告されてきています。
なお、 顎が動くときに音がなったとしても、痛みや食べ物を噛むときの障害がない限り、音そのものは治療の対象にはならないことがほとんどです。

顎関節症の治療に関する費用は、歯科矯正治療費と別途になりますのであらかじめご了承下さい。